さて、全国高等学校アメリカンフットボール選手権大会もいよいよ大詰めです。11月11日王子スタジアムにて行われました関西ベスト4が出そろった準決勝の二試合は意外な展開となりました!
チーム名 | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 |
箕面自由学園高等学校 | 7 | 16 | 0 | 7 | 30 |
関西大学第一高等学校 | 0 | 0 | 0 | 8 | 8 |
大阪府大会準決勝の再戦となったこの試合は意外な展開で幕を開けました。
緊張感漂う試合開始直後にそのプレーは起こりました。関大一高K28秦野康平(3年)選手のキックオフしたボールを箕面自由学園リターナー15番山下宗馬(3年)選手がなんと一気に80ヤードを走り切り、キックオフリターンタッチダウン! 試合は箕面自由学園の先制パンチで幕を開けます。
タレント揃いの箕面自由学園の中でも、この試合のヒーローは15番山下宗馬選手! 試合開始早々のキックオフリターンタッチダウンのみならず、この後前半終了間際にも2度目のキックオフリターンタッチダウンを獲得するなど大暴れ! 大事な試合のモメンタムを勝ち取ったのはこの山下選手の個人技であると言っても過言ではないでしょう! 写真は2本目のリターンタッチダウンの時の写真です。
一方、関西大学第一高校の攻撃は敵陣10YD付近まで前進するもフィールドゴール失敗で無得点。さらに、フィールドポジション争いでも劣勢を強いられなかなか波に乗れない関大一高に対し、箕面自由学園はエースRB21元古耀介(3年)選手のタッチダウンランで14-0とリードを広げます。しかしまだまだ試合の趨勢が分からない中で一気に天秤が振り切れたのが前半終了間際のこのプレーでした。
関大一高自陣深くからの攻撃を、箕面自由学園LB59中村優太郎(3年)選手がエンドゾーン内でタックルしセーフティ!
素晴らしいタックルの箕面自由学園LB59中村選手! お互い手の内を知り尽くしている両者だけに守備陣のスカウティングも万全。その証拠に前半23-0と離れたスコアのうちリターンタッチダウンを除けば、9-0と点差はわずか9点。ロスタックルやQBサックが飛び交った内容を見れば両者のディフェンス陣がどれだけ素晴らしい働きをしていたか分かります。そんな中でも試合を大きく動かしたのが、この箕面自由学園LB9中村選手のセーフティと前述した15番山下選手のリターンタッチダウン! 前半残り1分少々で、一気に優勢を拡大した箕面自由学園が23-0と23点をリードして前半を折り返します。
後半に入っても勢いが衰えない箕面自由学園。DB12林道之介(3年)選手のインターセプトや第4Qに入るとQB11糸川幹人(3年)選手からWR80鈴木絢真(2年)選手へのタッチダウンパス成功とさらにリードを30点に広げ、後半に強い関大一高に隙を与えません。
しかし、このまま終わるわけにはいかない関大一高は第4Q、自陣からの攻撃でRB11柳井竜太朗(3年)キャプテンのランでギャンブルを成功させると、QB7篠原呂偉人(3年)選手からRB41前野貴一(3年)選手、WR81金山将龍(3年)選手、WR13村重壱心(3年)選手らへのパス成功などでゴール前まで迫り、最後はQB7篠原選手が自らの足でタッチダウン!
意地のタッチダウンランを見せた関大一高QB7篠原選手! これまで数々の逆転劇を演出してきたQB7篠原選手ですが、箕面自由学園相手にはなかなか打開できず。苦しい状況が続く中での最後まで繋いだタッチダウンドライブでした! 目の前で目撃していましたがこのタッチダウンのプレーは、これまでの無得点の悔しさを晴らすようなキレッキレのカットバックでエンドゾーンまで走り切り、関大一高スタンドを大いに沸かせました!
さらに、2ポイントを狙う関大一高。QB7篠原選手からTE45村中勇太(3年)選手へのパス成功でGOOD!
ここぞという場面で必ずパスをキャッチしてくれる、TE45村中選手へのパス成功! 一番らしいプレーで8点を獲得し意地を見せた関大一高でしたが、この後のオンサイドキックは箕面自由学園が確保。関大一高の2年連続クリスマスボウル出場の夢はここで潰えてしまいました。3年生の皆さんおつかれさまでした。昨年度クリスマスボウル出場の大きな原動力となった3年生の力はまた下級生に受け継がれ、伝統の形となるんだなと感じました。また大学のフィールドでも活躍してくれることを期待しています。
以上、第一試合は大阪1位の箕面自由学園が攻守ともに勢いのあるプレーで、関大一高を破った試合となりました。
大阪産業大学附属高等学校 | 0 | 2 | 0 | 12 | 14 |
立命館宇治高等学校 | 14 | 14 | 7 | 15 | 50 |
第一試合の余韻も冷めやらぬ第二試合でしたが、第二試合も予想外の一方的な展開となりました。
試合は立命館宇治高校が攻守ともに、圧倒的な強さを見せます。クリスマスボウル出場に向けて意気上がる立命館宇治高校はオフェンスではRB39横川豪士(3年)選手のビッグゲインやRB21平松的(3年)選手のタッチダウンラン。QB5庭山大空(2年)選手からWR80木下豪彪(3年)選手へのタッチダウンパス、さらには前半残り数十秒からQB5庭山選手の独走タッチダウンなど前半だけで大量28点を獲得! クリスマスボウル出場に向けた熱い思いと充実さを見せつけます!
この日3つのタッチダウンを獲得、RB21平松的(3年)選手!
それぞれのポジションで仕事をこなす3年生たち。そんな立宇治において一際輝いていたのがRB21平松選手でした! この日はRB21平松選手だけでなんと3つのタッチダウンランですか? 凄い! もちろんこの強力なランオフェンスには素晴らしいオフェンスラインの働きがあることも付け加えておきたいですね。RB21平松選手だけでなくRB39横川選手、RB30村上太智(2年)選手、RB8南田億(2年)選手など多くの優秀なRBを抱える立宇治がその選手層の厚さを見せつけるような活躍で前半から大きくリードします。
一方の大産大附属は若い選手らが期待通りの活躍を見せるも得点に繋がりません。1年生ながらスターターQBを任されたQB4桑原凛人選手からWR13伴野圭祐(3年)選手へのパス、また大産大附属のビッグウェポンのRB18山嵜大央選手のビッグゲインなどでゴール前まで迫るドライブも、立宇治の固いディフェンスにギャンブル失敗。前半はセーフティの2点のみで終わってしまった大産大附属。2-28で前半を折り返します。
後半に入っても立宇治の勢いは止まりません。QB5庭山選手のクォーターバッキングやRB30村上選手のランなどで次々と得点を重ねた立命館宇治高校は全てのクォーターで1本以上のタッチダウンをあげるなど、集中力を切らさずに大産大附属をじわりじわりと追い詰めます。そんな大産大附属の反撃ののろしが上がったのが第4Q、QB7橋谷壮(2年)選手のキーププレーで敵陣深くまで攻め込むとRB18山嵜選手のランでタッチダウン!
しかし1本を返した後、ファンブルロストなどでチャンスを失い8-50までリードを広げられた大産大附属に残された時間はわずかしかありませんでした。
試合残り34秒。QB4桑原選手からRB18山嵜選手へのパス成功で敵陣24YDまで前進した大産大附属高校はここからTE5小林陸キャプテンへ立て続けにパスを投じます。「最後にタッチダウン取ってこい!」そんな檄があったんでしょうか。試合残り0秒、QB4桑原選手からTE5 小林陸選手へ見事タッチダウンパス成功!
「GO! GO! FIGHTIN' Angels」の応援幕を背にタッチダウンパスをキャッチする大産大附属TE5小林陸キャプテン! 決して多くはない人数で関西準決勝までチームを率いた小林陸キャプテンが、最後に意地のタッチダウンを見せてくれました。3年生の皆さんお疲れさまでした。縁の下の力持ちが多い3年生をなかなかご紹介できなかったのが心残りですが、また大学のフィールドでもプレーし続けてくれると嬉しいなと思います。
以上、第二試合攻守にわたり圧倒的な強さを発揮した京都府1位の立命館宇治高校が大阪2位の大産大附属に快勝した試合となりました。
この日の結果により、関西決勝は大阪1位と京都1位の戦いとなりました!!!
11月23日(金祝)@王子スタジアム
13:30~ 箕面自由学園高等学校(大阪1位) vs 立命館宇治高等学校(京都1位)
関西決勝は大阪1位と京都1位の1位対決となりました! 準決勝の戦いぶりを見ても攻守ともに充実している両チーム。箕面自由学園は関西大学第一高校を個人技を含む総合力で圧倒。またスカウティングも完璧で関大一高のオフェンスを封じ、余力のある勝ちっぷりで関西決勝に名乗りを上げました! 一方の立命館宇治高校も大産大附属高校に対し大きくリードした後も決して緩めず、集中力の高いパフォーマンスと隙のない戦いぶりで大産大附属に快勝! どちらのチームもクリスマスボウルに向け万全の準備ができているといった印象を感じます。
すべての高校フットボーラーが目指すクリスマスボウルまであと一勝! どちらのチームがクリスマスボウルへの切符をつかむのか、ワクワクドキドキの熱戦にどうぞご期待ください。11月23日、お時間のある方は王子スタジアムへGO!
(終わり)